グラフィックデザイナーは残業が多い職種だとよく言われます。
デザイナー職に残業が多いのは残念ながら事実です。
私は約10年ほど正社員のグラフィックデザイナーとして働いていました。
その10年間のうち、定時ぴったりで帰れたことは10回もないと思います。
なかなか衝撃的な数字ですが、事実なので仕方ありません。
今回の記事ではグラフィックデザイナーの残業事情について掘り下げていきたいと思います。
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グラフィックデザイナーのリアルな残業事情
私個人の話をしても仕方がないので、グラフィックデザイン業界としてのお話しをします。
JAGDA(日本グラフィックデザイナー協会)という組織があります。
JAGDAは2017年7月にデザインのあれこれという書籍を発行しています。
本の企画で、JAGDAの会員約600名に対し様々なアンケートが実施されており、その中で「勤務時間」に関するアンケートがありました。
結果としては、
定時は18時〜19時に設定している会社が多いが、実際の帰宅時間で一番多いのは23時以降
となっており、いかにグラフィックデザイナーに残業が多いか分かります。
- 平均勤務時間(休憩時間含む)は約11時間
- 定時に仕事を終えられているデザイナーは少ない
引用:デザインのあれこれ 100 Keywords of Design: JAGDA REPORT
という記述もありました。
残念ながら、グラフィックデザイナーは残業が多いです。
ちなみに私は残業時間100時間超えることは、割と普通でした。
【関連記事】
残業月100時間が普通だった20代を振り返る。失ったものと得たものとは?
徹夜続きで半分会社に住んでいたこともあったので、残業と始業の境目が無かった時期もあります……。
グラフィックデザイナーはなぜ残業が多いのか
デザイナーが残業が多い理由は主に3つあると思っています。
- 人手が足りていない
- 自分の納得いくデザインができない
- 自分ではコントロールできない問題が多発する
人手が足りてない
私はグラフィックデザイナーとして4つの会社で働きましたが、どの会社も仕事量に対して、人手が足りていないと感じていました。
人手に関しては、会社側とデザイナー側の感じ方に誤差がある場合が多いです。
デザイナー→人手が足りない。猫の手も借りたいくらい忙しい。
経営者は他部署の人たち→この仕事量ならこの人数でできるだろう。むしろなんでいつも残業してんの?
というようなズレがあります。
このような問題が生まれる原因は以下の通りです。
デザイナーではない人が採用を決定している
経営者や採用担当者が
- デザイン経験者
- デザインに対して理解がある人
であればいいのですが、
デザインについて知識や理解が乏しい人だった場合、
- 制作にかかる時間を把握していない
- デザインの仕事を軽視している人もいる
という問題があり、適切な人員を確保できていないことがあります。
繁忙期と閑散期がある
受注している仕事の種類によっては、繁忙期と閑散期があります。
そのため、繁忙期を基準にして人員を確保すると、
閑散期には仕事が全員に行き渡りませんし、売り上げも減ります。
これではアンバランスですので、繁忙期は少ない社員で無理をしてどうにかしのぐ、というスタイルの会社もあります。
適正な価格でデザイン料を設定していない
適正な価格でデザイン料を設定していないため、利益が出ず社員を増やせない場合もあります。
中にはデザイン料はタダで受注し、印刷費を抑えてその差で利益を出している会社もあります。
デザイナーとしては悔しいですが、デザイナーの残業問題の影には、
「このくらいの作業すぐできるでしょ?」というデザイン制作への軽視があると思います。
自分の納得のいくデザインができない
デザイン制作はある意味「自分との闘い」のような面があります。
この場合はスケジューリングがうまくできていない可能性もありますが、
デザイン業界ではいまだに「師弟関係」のような古い習慣が残っている会社もあり、
「明日までにアイデア100個出しといて〜」なんて先輩に言われてしまったら、徹夜するしかなくなりますね。
新人時代は実力不足で特に残業が多くなる
新人デザイナーは知識も浅く、技術も未熟です。そのため作業に時間がかかり、なおさら残業が多くなります。
日中に雑用を頼まれることもあります。
- おつかい
- 調べもの
- プレゼン用の資料のコピー
などを頼まれ、デザイン作業ができず、22時頃からようやく自分の仕事が始まるなんてこともあります。
自分ではコントロールできない問題が多発する
自分の実力不足で残業するのは納得できますが、
案件によっては自分の努力だけでは残業を避けれない場合があります。
クラアイアントから突然の修正依頼が入る
2ページの予定を4ページに変更など、唐突な修正依頼が入ることがあります。
修正のために適切な時間をもらえる場合は問題ないのですが、納期を伸ばしてもらえない時は残業して対応するしかありません。
他社のデータが来ない
フリーペーパーや雑誌の制作を担当している時、広告枠に入るデータ(他社が制作)がいつまで待っても到着しないことがありました。
自分の作業が終わっても、他社からのデータ待ちで帰宅できないこともあります。
グラフィックデザイナーの残業代はきちんと出るの?
残業代が未払いとなると、大きな問題です。
なのでさすがに残業代は支給されている会社が多いですが、デザイナーの場合、残業代は「条件付きの支給」になっている場合が多いです。
デザイナーはみなし残業が多い
みなし残業とは、簡単に言うと、
残業代をあらかじめ基本給に含めますよ。
という制度です。
例えば、20時までのみなし残業が設定されている場合。
- 定時が18時→20時まで残業
あらかじめ20時までの残業代が基本給に含まれているので、別途残業代の支給はありません。
- 定時の18時に帰った
20時までの残業代はあらかじめ基本給に含まれているので、残業はしていないが、給料からカットされることはない。
この制度は違法なものではありませんが、デザイナーにとっては損になる場合が多いです。
その理由は
- デザイナーが定時で帰ることは稀
- みなし残業がついても、デザイナーの基本給は安いことが多い
からです。
残業代の支払いに時間制限がある
20時までの残業代はあらかじめ基本給に含まれる。
↓
更にその時間を超えて残業する場合、残業代は22時までしか支給しません。
というように時間制限を設けている会社が多いです。
この場合、22時以降は完全にタダ働きになってしまいます。
深夜残業代は支払われない場合がある
本来であれば深夜残業という形で残業代が支給されるべきですが、全ての残業代を支払っていたら、会社も大変だと理解はできます。
残念ながら、中には残業代目当てでゆっくり作業する人もいますので。
最近は電通の過労問題などもあり、徐々に改善の兆しはあります。
それでも、デザイナーの労働改革が末端のデザイン事務所まで浸透するには、まだ時間がかかると思います。
グラフィックデザイナーの残業対策
少しでも楽に働くための対策をお伝えします。
- 自分の仕事が終わったらさっさと帰る。
同僚や先輩への遠慮はいりません。
ダラダラ作業せず、スパッと帰ってください。
「あの人はさっと帰る人だ」という印象を植え付け、少しでも早く帰れる環境を整えることが大事です。
- 同僚を巻き込み、早く帰る風潮をつくる
会社全体で終業を早める風潮をつくります。
一人だけ早く帰るのは少し心苦しいですが、みんなでやれば怖くないです。
仕事が残っている人がいたらみんなで仕事を分担し、全員で早く帰るべきです。
- 知識や技術を磨き、デザイン力をアップする。
デザインの本を読み、イラストレーター、フォトショップの技術を高め、作業スピードを上げます。
あまりにも残業が続いてしんどくなったら
身体や精神を壊してまで仕事を続ける必要はありません。
とりあえず転職サイトに登録して、求人情報を見つつ仕事を続け、良さそうな企業があれば思い切って転職するのもアリだと思います。
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デザイナーを辞めた後に関しては、こちら。